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工場長

時空を駆け巡るマシンはでてこない(。-`ω-)

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無題

 「魂」の塊の一部が光臨の体の中に入り込んだ。ぱっと、人形のように、光臨の目を大きく開けて光臨の体を操って起き上がらせた。光臨の神がかった目が葵に向けられた。
 お前が我等を呼んだのか?
 葵は金縛りにあったようになり、その場に凍りついてしまって声が喉に張り付いて出ない。しかし、うん、のつもりで目でそのそぶりを見せた。光臨の顔は無表情のまま口だけが動いた。
 お前は、なぜ我等を呼んだのだ?話せ、白金の血をひくものよ。
 すると、葵の金縛りが少し解けたのか、ふっと体が解放されたように感じて、なんとか声が出せた。
 「私は今、重大な使命を負っています。それは私たち一族の力では到底果たせぬものです。また早急に果たさねばならないため、あなた方のお力でいち早く使命を果たそうと思ったのです」
 しばらくの沈黙の後、光臨の眼が葵の心の中をじっと見ているかのように動かなくなり、そして「魂」たちは悲しげに語り始めた。
 ああ、白金の末裔よ。お前の祖先の一人で、お前と同じ『臨ノ国』の番人であった者を覚えておる。
 おお、あさましや。あやつも我等の力を使おうと願っていたが、我等はその願いを叶えることはできぬ。なぜなら我等は原始のころよりこの地に縛られているから、外のことはわからぬのだ。
 ああ、何ということ。この地の者を守っていくことが役目であるのに、この地の者の願いを叶えてやれぬとは。ああ、恥ずべきことかな、恥ずべきことかな。

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